減収になるも、売上総利益では過去最高
第64期(2024年3月期)は、パーム油やヤシ油といった天然油脂相場価格の下落、中国をはじめ、世界経済の停滞などの影響を受けました。当社グループと関わりの深い界面活性剤業界の生産・販売量も前年より1割ほど減少しています。
そのため、化学品事業においては主要得意先からの受注が低調となりました。しかし、当社グループでは、以前から収益性を向上させるため、新興国化学品の拡販、香粧品を中心とした最終製品メーカー向け原材料販売、環境ソリューションビジネスの展開を積極的に進めてきました。これら3つの取り組みにより、売上総利益は過去最高となりました。
特に、環境ソリューションビジネスでは、上水化システムの大型案件が決まるなど、着実に成果が出ています。こうした新しいチャレンジによって、少しずつではありますが、従来の化学品事業にプラスアルファの利益が生まれてきています。
日用品事業では、原材料価格やエネルギー価格の高騰の他、物価上昇によるお客様の買い控えの影響もあり、厳しい状況が続いているといえます。ただ、原材料費上昇分を適正に価格転嫁できるよう努めているため、収益的には大きな落ち込みはありませんでした。
土木建設資材事業では、鉄道の大型トンネル工事物件を受注し、環境改善薬剤の販売が好調でした。また、東京外かく環状道路のトンネル工事や大阪・関西万博関連の道路工事物件も継続しており、第63期に比べて大きく業績を伸ばし、利益の下支えとなっています。
海外拠点では、子会社である中国の昭栄祥は、主に中国国内の景気減速の影響から低調となっています。同じく子会社であるタイのSTTは、洗浄剤ビジネスと化学品ビジネスの2本柱体制を構築しつつあり、比較的堅調に推移しています。
これらの結果、当社グループ全体の業績は、売上高22,595百万円(前年比7.9%減)、営業利益440百万円(前年比9.8%減)、経常利益651百万円(前年比3.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益491百万円(前年比1.5%増)となりました。
なお、当社グループでは安定配当を継続する方針のもと連結配当性向25%以上を目標としています。当期の期末配当金については業績結果を反映し、1株当たり38円とさせていただきます。
環境関連ビジネスの推進などで利益の確保を図る
第65期の世界経済は、中東情勢などの緊迫化といった不安要素もあり、経済成長のスピードは緩やかだといわれています。
当社グループに関するところでは、天然油脂相場価格は第64期ほどの極端な変化はないと見られ、売上的には第64期と同程度、あるいは多少上向く可能性もあると考えています。中国の昭栄祥では、新しいガラス繊維関連薬剤をメーカーと協働し、開発に取り組み、これまで試験的に販売していましたが、そろそろ本格販売に移行できると期待しています。
また、前述しました3つの施策、新興国化学品の拡販、最終製品メーカー向け原材料販売、環境ソリューションビジネスをより一層推進して収益を確保していく所存です。環境ソリューションビジネスでは、節電ニーズに対応できる製品の取り扱いをはじめました。これは5%から10%ほど電力消費量を削減する効果が期待されます。節電によってCO2削減を実現しようというもので、さらに普及に努めたいと考えています。さらに、新たにスクラバー(排ガス処理装置)の販売をはじめました。これにより、脱臭機や脱臭薬剤では難しい、より大きな施設などにも対応することができます。販売方法にも工夫し、当社が直接販売するだけでなく、2次販売店に委託するスタイルなどビジネスモデルの構築に取り組んでいます。
ニオイ(脱臭)、水に加えて、節電という分野にも挑戦し、製品ラインナップを充実させていくことで、お客様の困りごと解決により一層貢献したいと考えています。
株主優待制度を導入し、当社の認知度や株式の魅力向上へ
このたび当社は、株主の皆様からのご支援に感謝するとともに、当社の認知度を高め、当社株式への投資の魅力をより高めるべく、株主優待制度を導入しました。長期にわたって当社株式を保有していただき、ご支援をいただくことで、より積極的に事業活動に邁進していきたいと考えています。
当社グループは、今後もサステナブルな社会の実現に向けて多方面な取り組みを続けるとともに、取り組みをされている企業様を支援し、安定した持続的成長を目指します。
株主の皆様におかれましては、末永いご支援、ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。