
第63期は売上高、営業利益、経常利益が過去最高を更新
第63期(2023年3月期)は、過去最高を記録した上半期までの業績が通期の業績に影響しました。背景には、当社取扱い製品の原材料となるパーム油やヤシ油などの価格(天然油脂相場価格)の上昇があります。2022年2月に原材料価格がピークとなり、化学品事業の製品価格を改定したことから上半期の売上および利益が大きく伸びました。さらに、ロシア・ウクライナ侵攻によるサプライチェーンの混乱を受け、リスク軽減のためにお客様から早め多めの受注があり、販売数量が維持できたことも影響しています。
化学品事業の新しい取り組みとして数年前から展開している環境ソリューションビジネスは、少しずつ件数が増加して収益の一部に貢献しました。当期は名古屋や大阪の展示会で積極的にアピールし、特に脱臭(臭気対策)ソリューションの実績が上がっています。
日用品事業は、コロナ禍の巣ごもり需要がなくなって低調となり、円安による輸入商材の価格高騰、原材料や包材、物流費などのコストアップが影響して厳しい状況となりました。そうした中でも、大手ホームセンター向けPB商品に採用された掃除用関連商品は既に店頭に並び、リピートもあるなど計画通り着実に進んでいます。
土木建設資材事業は、上半期は前年実績を上回る結果を出したものの、下半期は低調となりました。主力の土木グラウト関連工事で大きな動きがなかったことや環境改善薬剤の販売が低調であったことが要因です。食品副産物を有効活用した土壌浄化促進剤「ソイビオMA」も当期は売上としては大きく伸びませんでしたが、2023年4月以降には大きな物件も出ており、徐々に浸透していくと考えています。また、大型の新規トンネル工事案件や、大阪・関西万博関連工事などが見込まれ、期待できると考えています。
海外に関連するビジネスでは、子会社であるタイのSTTは売上高・利益ともに前期を大きく上回りました。同じく子会社である中国の昭栄祥は、上海のロックダウンの影響などで売上は下がったものの利益を確保しています。国内の輸入ビジネスは、積極的な販売活動が実を結び、大きく売上を伸ばしています。
このような結果、当期のグループ全体の業績は、売上高24,529百万円(前年比16.0%増)、営業利益488百万円(前年比61.5%増)、経常利益673百万円(前年比41.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益484百万円(前年比16.3%減)となりました。
なお、当社グループでは安定配当を継続する方針のもと連結配当性向25%以上を目標としています。当期の期末配当金については業績結果を反映し、1株当たり36円の配当とさせていただきます。
世界的に厳しい状況が予想される中、お客様のお困りごとを解決していく
原材料価格の上昇とそれに伴う価格改定など、第63期は当社グループにとっては良い風が吹いたといえます。しかし、たとえ良い風が吹いても受け止める力がなければ風は簡単に吹き抜けてしまいます。仕入れ先様や販売先様のご協力があってこその結果であり、また、不安定な状況の中でも迅速に対応できた結果だと考えています。
現在、当社グループでは「伝えてつなぐ」をキーワードにビジネスを進めています。当期は、ロシア・ウクライナ侵攻によりヨーロッパのケミカルが入手困難になりましたが、必要な情報をいち早く伝えてつなぎ、中国から同等の商材を手配してお客様にご提案することができました。それによって新しい輸入ケミカルが増えてビジネスの幅を広げられ、さらにお客様からの信頼度・期待度も上がったと考えています。
第64期は、IMFの世界経済見通しが下方修正されるなど、厳しい状況になると予想されます。厳しい状況ほどお困りごとが増える可能性もあり、「伝えてつなぐ」姿勢でお客様の現状を把握し、信頼できるパートナーとして一番にお声がかかる会社を目指します。
サスティナブルな社会の実現に向け多方面からの取り組みを推進
2023年3月、多くの方々に当社グループをよりわかりやすく理解していただけるようホームページを刷新し、英語・中国語版を設けてスマートフォン対応も行いました。また、社内においては、よりよい企業を目指し、従業員のエンゲージメント向上を図る取り組みをはじめています。
2017年より当社グループはRSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)の正会員として環境に配慮した事業活動を推進してきましたが、RSPO会員数も増えて少しずつ活動に広がりを見せています。引き続き、RSPO普及活動をはじめ、SDGs活動に取り組んでいきます。
当社グループではサスティナブルな社会の実現に向けて多方面から取り組みを続けています。今後も安定した持続的成長を目指して事業活動に邁進していきますので、株主の皆様におかれましては変わらぬご支援、ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。